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なぜ治験には悪いイメージがあるのか?治験コーディネーター(CRC)が解説

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こんにちは。看護師から治験コーディネーター(CRC)に転職した夏樹です。

 

治験って、正直ちょっと悪いイメージがあったりしません?

 

  • 「人体実験」とか「モルモット」とか…。笑
  • 良いデータが欲しくて裏取引をするとか…。
  • 治験に参加するとお金がもらえるので、闇バイトのような大きな声で言えないような雰囲気があるとか…。

 

治験コーディネーターとして被験者さんに治験のお話をすると、ネガティブなことを言われたりもします。

 

ですが、治験は悪いものじゃないんです!

 

なんで治験って悪いイメージがあるの?実際はどうなの?ということについて、治験コーディネーターとしての目線で解説します。

 

なぜ治験には悪いイメージがあるのか?

治験に悪いイメージがある理由を3つに分けて考察しました。

 

  • 人体実験のようなイメージがある
  • 治験の歴史的に悪いイメージがある
  • 健康と引き換えにお金をもらっている

 

詳しく解説していきます。

 

人体実験のようなイメージがある

これはある意味では否定できません。

人の体で薬の有効性や動態をチェックしているのですから…。

ですが、おそらく「人体実験」とネガティブな意味で言っている方の中にはこんなイメージがあるのではないでしょうか。

 

  • 得体の知れない薬を投与される
  • 安全が保障されていない
  • 知らない間に実験台にされている

 

これらについて説明します。

 

得体の知れない薬を投与される

治験薬には、「既に発売されている成分」のものもありますし「新しく開発された成分」のものもあります。

特に心配になるのは「新しく開発された成分」のほうではないでしょうか。

「よくわからない薬だ」というイメージを持たれるかもしれません。

 

ですが、治験薬の成分については既に十分な検討がなされていて、動物実験も完了しています。

 

そのうえ、治験薬の成分や機序については同意説明文書(被験者さんに渡される治験の説明書のようなもの)にも詳しく書かれています。

被験者の方に黙って謎の成分を投与されるということはありません。

 

安全が保障されていない

治験に参加したら健康被害が起きたり、最悪死亡してしまったり…ということが起きるのではないかと心配される方もいらっしゃるでしょう。

 

はっきり言うと「薬が合わずに症状が悪化する」ということはあります。

もともと行っていた治療をストップして治験薬に切り替える場合、「元の薬の方が体に合っていた…」ということも。

 

それは一般薬でも起こりえる範囲であることが多いですが、「治験に参加せず、以前の治療のままが良かった…」と被験者さんが思われるのも当然でしょう。

 

治験薬がちゃんと効いているか?副作用はどうか?を把握するために、治験参加中は頻繁に検査をして身体の状態をチェックしています。

 

ただ、治験について私から「治験って絶対安全だよ!」と言うことはできません。

でも、それは「運転がこわい?事故なんて絶対にしないから安全だよ!」とか、「道を歩いていていきなり上から何かが落ちてきて死んじゃうなんてこと、100%ないよ!」と言い切れないのと同じだと思います。

 

覚えていてほしいのは、治験薬ではない一般薬を使用しても副作用などのリスクはあるということ。

 

それに比べて治験では、前述のとおり入念な健康状態のチェックがあるので逆に安心かもしれませんね。

 

知らない間に実験台にされている

気づかない間に実験台にされている…なんて想像している方もいらっしゃるかもしれません。

 

ですが、現在治験は「被験者の自由意思による同意のもとで」行われます。

 

↓具体的にはこんな感じ。

 

step
1
医師と治験コーディネーターから治験の説明を受ける

step
2
説明内容を十分理解でき参加の意思がある場合のみ治験参加を申し出る

step
3
「治験に参加します」という同意書に日付と署名をする

step
4
治験が開始される

 

※ご本人が同意能力を欠くと判断される場合は代諾者が同意

 

もしも治験参加の同意書を取っていなかったり、紛失したり、同意を取る前に治験薬の投与や検査を始めてしまったら…大問題です。
(そんなことをすれば必ずバレます。)

 

ただし、例外もあります。

以下のようなケースでは、治験責任医師は本人or代諾者の同意を得ずに治験に参加させることができます。

  • 被験者となるべき者に緊急かつ明白な生命の危険が生じていること。
  • 現在における治療方法では十分な効果が期待できないこと。
  • 被験薬の使用により被験者となるべき者の生命の危険が回避できる可能性が十分にあると認められること。
  • 予測される被験者に対する不利益が必要な最小限度のものであること。
  • 代諾者となるべき者と直ちに連絡を取ることができないこと。

緊急状況下における救命的治験と呼ばれます。

 

治験の歴史的に悪いイメージがある

過去、治験…というか医療の発展の歴史にはさまざまな犠牲がありました。

人権を無視した実験がまかり通っていた時代もあります。

 

そんな状況を改善しようと1964年に定められたのが「ヘルシンキ宣言」

これは医師や研究者が守るべき倫理指針であり、正式名称は「人間を対象とする医学研究の倫理的原則」といいます。

ヘルシンキ宣言の考えを基に日本で制定されたのがGCP(医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令)。

治験は、ヘルシンキ宣言に基づく倫理的原則及び GCP を遵守して行われます。

 

たしかに過去には人権を無視した事件がありました。

ですが、被験者の人権、安全及び福祉に対する配慮が最も重要であり、科学と社会のための利益よりも優先されるべきであるというのが今の治験における人権の考え方です。

 

健康と引き換えにお金をもらっている

自分の健康を売ってお金をもらっている ー こんなイメージを持つ方もいらっしゃると思います。

たしかに、治験に参加すると「負担軽減費」と言ってお金を受け取ることができます。

 

ですが、このお金は決して「被験者の方の健康と引き換えに支払われるお金」ではありません。

 

「治験に参加することによって通院回数が増えるので交通費の補填に」「拘束時間が増えるのでその負担を軽減するために」…など、治験に参加することによる負担を軽減するための費用です。

負担軽減費については以下の記事でも詳しく解説していますので、よかったら読んでみてくださいね。

治験に参加するとお金がもらえる?!現役治験コーディネーターが解説

  こんにちは、現役治験コーディネーターの夏樹です。   治験コーディネーターはマイナーな職業ですが、日々治験の診療のお手伝いをしたり、治験薬のチェックをしたり、治験に関するデータ入力などをしています ...

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治験の悪いイメージについてまとめ

以上、治験の悪いイメージについて治験コーディネーターからお話しました!

 

やはり未来の医療にとっても治験は必要不可欠です。

 

ですが「治験?なんかこわいから嫌だ」と言われることが多く、なかなか参加してくださる方がいないのも事実。

治験はよくないもの、後ろ暗いもの…という印象がなくなればよいなぁと思います。

 

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  この記事は「治験のボランティアしてみようかな?」とお考えの方向けの記事です。   私は「治験コーディネーター(CRC)」として、医療機関で治験のお手伝いをする仕事をしています。   候補の方に治験 ...

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